コラム

マンション

2023.09.01

玄関扉にまつわるトラブル

 毎日、うだるような暑い日々が続いていますね。「熱中症警戒アラート」と呼ばれる注意喚起も連日報道されているほど、外での活動がしづらくなっております。エアコンの使用やこまめな水分補給を行い、暑さで倒れないように心がけていきたいです。
 
【玄関扉を開けっ放しにすると…】
マンションにおいても気密性が高いため、室内に熱が入り込むとなかなか冷めにくい傾向にあります。部屋の中の熱気を排出するために玄関扉を開放し、風通しをしている方もいらっしゃるかもしれません。
実は、長時間玄関扉を開放することが「消防法」に抵触するのです。玄関扉には「防火扉」としての機能があります。部屋の中で火災が発生した時、他の部屋に火が燃え移らないよう防ぐ効果があります。「防火扉」は煙が漏れ出すことも防ぎます。また、廊下の幅が狭い場合、扉を開放していると避難の妨げになることも考えられます。
 
【換気を効率的にするには?】
 扉を開放せずとも換気は可能です。まず、①窓の開け方を工夫しましょう。そして、②台所の換気扇を活用しましょう。
 
 ①部屋の対角線上に窓がある場合は両方を開け空気を入れ替えましょう。窓が一つしかない場合は窓のそばに扇風機を置いて風の流れを作りましょう。窓がない部屋は扉付近に扇風機を置き、窓のある部屋へ空気を流しましょう。
 
 ②最も排気量が多い台所の換気扇を運転させると、より効率的に室内の空気を外に出すことができます。その際、台所からできるだけ離れた窓を開放すると部屋全体の空気を動かすことができるでしょう。
 

この他にも、遮光カーテンを設置することで日光を遮り、室内の温度が上がることを防ぐことができます。室内の温度を下げてからエアコンを使用することで消費電力の節約にもなります。工夫次第で玄関扉の開放をせずとも温度管理ができますので、暑い夏を上手に乗り切りましょう。 

2023.07.10

マンションを長期間空ける時に気をつけたいこと

 暑い日々が続き、熱中症に気をつけたい季節となりました。夏休みやお盆に向けて旅行や帰省を考えている方も増えていくことでしょう。長期間マンションを不在にするとき、空き家対策を行う方も多いかと思いますが、改めて注意したいことについてお話しします。
 
 【空き巣が見ている不在の様子】
 空き巣がターゲットにする家というのは特徴があります。留守にする場合、家の様子に変化がない状態となります。昼間はカーテンが閉めたままで、夜なのに電気は点いていない。インターホンを押しても反応がない。不在だと思われ侵入の隙を与えてしまいます。
 
 【不在前に抑えておきたい準備ポイント】
 空き巣対策として3つをご紹介します。
 
1つ目の対策は「郵便局に不在届を出しておく」です。郵便ポストに郵便物が放置されていることを空き巣に見つかってしまうと被害のターゲットになってしまう可能性が高まります。郵便局で不在であることを届けておくと、不在の間、郵送しないようにすることができます。チラシについては投函禁止プレートで対応するか、親戚知人に回収をお願いする方法があります。
 
 二つ目の対策は「出入口・窓の防犯対策」です。高層階だからといって窓を施錠せずにいるのは禁物です。外壁配水管をよじ登って侵入されるケースもあるようです。さらに、窓には防犯フィルムを貼る、振動や開閉で鳴る防犯ブザーの設置という方法でも対策はできます。
 
 三つ目の対策は「近所やマンション管理会社への不在連絡」です。ご自宅の異変や不審者の出入り対策には人の目が一番です。不在と聞いているのに人影や室内照明の点灯で近所の人が気づいてくれることもあるでしょう。マンションの場合、管理規約で長期間不在の届け出を定めている場合があります。火災時や周囲住戸からの漏水といったトラブルで管理会社が在宅状況に応じた判断が可能になりますので、必ず連絡を入れましょう。また、管理会社から送られる書類は郵便局の不在届では対応できないため、重要なお知らせなどは滞在先に郵送してもらうよう申し出ましょう。
 
【事前準備で心置きなく外出を】

このほかにも、ガスの元栓を閉めておくことや換気を行うことなど対策はいろいろあります。不在期間にもよりますが、空き家の見回りなどを行ってくれるサービスを利用する方法もあります。外出後も後悔や不安なくご旅行やお仕事に集中でき、緊急時にも警備会社が駆けつけてくれるといったメリットもありますので、利用してみるのも良いかもしれません。 

2023.05.23

「特定承継人」ってどんな人?

 5月はゴールデンウイークやイベントの多い季節ですね。各地で開催されたお祭りに参加された方も多いかと思います。石川県には歴史あるお祭りが多く残っています。伝統文化の継承には多くの人々の苦労が積み重なっていることでしょうね。
 今回はマンションの管理規約にも出てくるキーワード「特定承継人」についてお話いたします。マンションの区分所有権について引き継ぎ時に覚えておきたい言葉です。
 
  • まず、マンションにおいて「特定承継人」とはどういう人を指すのか見ていきましょう。
① 売買、贈与でマンションの区分所有者となった人
これは分かりやすいかと思います。不動産屋さん等で購入した場合がこの例に該当します。
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② 競売で競落しマンションの区分所有者となった人
裁判所の不動産執行手続や金融機関の抵当権実行で競売にかけられたマンションの専有部分を落札し、区分所有権を取得した場合はこの例に該当します。
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③ マンションの区分所有権を譲渡担保として設定し、その権利を移転され譲渡担保権者となった人
「譲渡担保」の例として、お金を借りた時の場合を考えます。お金を貸した人を債権者、お金を借りた人を債務者と呼びます。「譲渡担保」を設定すると債権者は債務者から提供された「担保」を自分のものとして受け取ります。債務者が借りたお金を返済すると、債権者は「担保」に設定した所有権や財産を債務者に戻します。
例の中で設定した「担保」はマンションの区分所有権です。「譲渡担保」を設定した時点で、「譲渡担保権者」となり、同時に「特定承継人」となります。
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④ マンションの区分所有権が三者以上にわたって移転し、最初と最後以外の区分所有者となった人
 イメージ画のようにマンションの区分所有権がAさんからBさんへ、BさんからCさんへ移転する時、中間にいるBさんも特定承継人になるということです。※過去には「中間取得者は特定承継人にならない」と判例もあります。ただ、近年は中間取得者も特定承継人として認める傾向がみられます。
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  • なぜ、特定承継人が重要なのか?

 売主がもしそのマンションの管理費等を滞納している場合、その区分所有権を得た「特定承継人」は滞納分を引き継ぎ、支払わなければなりません。「前の持主が作った滞納だから、自分には関係ない」という主張は通用しません。マンションを購入の際は管理費・修繕積立金・その他利用料の滞納状況を確認し、予期せぬ請求がないよう十分注意しましょう。 

2023.05.02

共用部を破損させてしまったときの対応

 桜の季節もあっという間に過ぎ去り、黄砂で車が砂だらけになってしまう日もありました。この季節は花粉症や黄砂でアレルギー症状に悩む方も多いのではないでしょうか。実際にアレルギー反応がある方に聞くと症状が出てからでは遅いようで、マスクや経口薬など事前準備をして乗り切っているようです。
 
さて、今回はマンションの共用部を破損させてしまったときに取るべき対策についてお話したいと思います。
 
こんな事例があります。
 「子供が遊んでいてボールで照明器具を割ってしまった」
「ベランダから物を落としてしまい、1階廊下の屋根に傷をつけてしまった」
 
とっさにやってしまったことで焦りが出ると思います。ただ、黙っていれば大丈夫と考えるのは禁物です。時間経過とともに破損した部分の損傷が進行してより大きな事故を招いてしまう可能性もあります。すぐにマンションの管理人や管理会社へ連絡し相談しましょう。
その際、以下の点をお伝えいただくことが大切です。
 
              1.事故が発生した場所
              2.事故が発生した日時
              3.破損箇所の状況
 
共用部の破損を修理する際、原則として故意または過失かに関わらず当事者が修理費用を負担します。子供やペットが破損させた場合、監督責任を持つ親や飼い主が負担する必要があります。
マンション総合保険に加入しているマンションでは共用部の破損や汚損が補償の対象となっている場合もあります。ただし、破損した人が判明している場合、マンション総合保険ではなく当事者からの損害賠償が優先されます。
 
 個人賠償責任保険を利用して共用部の破損の修復を可能とする場合があります。個人賠償責任保険とは、日常生活で人に損害を与えた時や物を破損してしまい、損害賠償を被ることになった場合に補償される保険です。個人で加入している火災保険などに特約としてついている場合があります。また、自動車で共用部に損害を出してしまった時は、自動車賠償損害保険からの補填となります。万が一にも対応できるように補償内容を確認しておきましょう。 

2023.03.29

子供の転落事故を防ぐには

 

桜前線が北陸に近づいているのか、桜の開花が見られるようになりました。春は植物たちが芽を出し始める中、温度変化による体調不良や花粉・黄砂によるアレルギー症状など春も油断できない季節です。

 

 先日、名古屋市内でマンションから双子の男児が転落死したニュースがありました。悲しい事故をこれ以上増やさないためにはどうすればよいのか考えてみましょう。

 

【転落事故発生の原因】

 転落事故の発生は①保護者が近くにいない、②子供だけで遊んでいる、といった目の届かない状態に起きているようです。また、ベランダに設置されたエアコンの室外機や手すりをよじ登り、転落した事例もあるようです。

窓やベランダからの転落事故における年齢別の救急搬送件数(n=62

東京消防庁管内で発生、平成29年から令和3年までの累計

東京消防庁「救急搬送データ」

(出典:東京消防庁「住宅等の窓・ベランダから子どもが墜落する事故に注意」

 

  【子供の転落事故を防ぐには】

 常に子供を見ているというのは現実的に難しいと思いますので、通常の見守りと合わせて以下の点を押さえておきましょう。

 

①補助錠を付ける

子供が勝手に窓や網戸を開けてベランダに侵入しないよう、手の届かない位置に「補助錠」を設置しましょう。

 

②ベランダや窓付近に物を置かない

プランターや椅子など様々なものが踏み台になり得ます。エアコンの室外機は手すりから「60cm以上」離して設置しましょう。窓付近のソファやベッドも足場になってしまう可能性がありますので、お部屋のレイアウトを確認して安全を確保しましょう。

 

③窓、網戸、ベランダの手すりに劣化がないかチェックする

特に夏場は換気のために窓を開け、網戸だけにしていることも多いかと思います。しかし、網戸は思ったより簡単に外れてしまうため、子供がベランダに出てしまい、結果として転落を誘発してしまうことがあります。

掃除や洗濯など、一瞬でも子供から目が離れるときは窓を閉めるのが基本ですが、網戸自体への対策としては①グラつきがある場合は調整ネジを確認する、②網や枠が劣化している場合は専門業者に修理を依頼する、などの注意点があります。

また、ベランダの手すりについては、サビなどを定期的に点検することをおすすめします。

 

 【出典】

政府広報オンライン

「ご注意ください!窓やベランダからのこどもの転落事故」

2023.01.26

マンションに関わる税制特例措置

 松の内の賑わいも過ぎ、日常生活が戻ってまいりました。より一層寒さが厳しくなるので、体調管理に気を付けていきたいと思います。
 
さて、今回は最新のマンションに対する税制特例措置についてお話したいと思います。
 
 マンションの経年により、壁面剥落や雨漏りといったトラブルが増えていきます。そこでトラブルに対応するための大規模修繕や設備の更新など様々な工事が必要となります。
 
ただ、工事費の急激な上昇や管理体制の欠如で、マンションの長寿命化に必要な積立金が不足する事態が発生しています。最悪の場合、廃墟化で周辺への悪影響や除却の行政代執行に繋がることも考えられます。
 
そんな不測の事態に備えるため、令和5年度税制改正大綱に「長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する特例措置」(マンション長寿命化促進税制)の創設が盛り込まれました。
 
 以下の条件で長寿命化工事を実施した場合、翌年の固定資産税が減額されます。減額割合は1/6~1/2の範囲内とし、市町村が条例定めることになります。
 
1.         築後20年以上が経過している10戸以上のマンションであること
2.         長寿命化工事を過去に1回以上適切に実施していること
3.         長寿命化工事の実施に必要な積立金を確保していること
4.         特例を受けるための長寿命化工事が令和5年4月1日から令和7年3月  
   31日までの間に完了すること
 
 この特例措置について現段階では法令化されておりません。条件や減額割合の変更もあり得ますので、今後より詳細な情報を注視していきたいです。
 
 
【参考資料】
国土交通省 報道発表資料
マンション長寿命化促進税制が創設されます!~マンションの長寿命化工事の実施に向けた管理組合の合意形成を支援します~

www.mlit.go.jp/report/press/house06_hh_000225.html

2022.12.27

管理組合役員の選出方法について

 早いもので今年も残すところわずかとなりましたが、年越しに向けての準備はいかがでしょうか。日頃できない箇所の掃除をやらなければと思いつつも、寒さに負けてこたつで丸くなってしまいます。
 
 さて、今回は管理組合役員の選出方法についてお話ししたいと思います。

 管理組合役員の人数や役職は、国土交通省が定めるマンション標準管理規約(単棟型)によると、理事長、副理事長○名、会計担当理事○名、理事○名、監事○名となっています。マンションによって世帯数や居住組合員の状況が違うため、役職を追加削減し管理規約を作成されているかと思います。あるマンションでは会計担当理事がいなかったり、新しく町会担当理事を追加したりしている場合もあります。

 これらの役員候補者を選出する方法として、「立候補制」または「輪番制」があげられます。多くのマンションでは輪番制を採用して、組合員全員が平等に役員を担っているかと思います。では、これら二つの選出方法のメリットデメリットについて見ていきます。

① 立候補制
<メリット>
・マンション管理に関する知識が豊富で熱心な方が期待できる
・理事会運営がスムーズに進むことが期待できる
<デメリット>
・同じ方が何年も務めるリスクがある
・ワンマンな理事長になるリスクがある
・新しい意見が取り入れられにくいリスクがある
 
② 輪番制
<メリット>
・平等に割り振るため役員になる方が偏りにくい
・事前に役員就任の時期が把握できる
<デメリット>
・理事会運営が疎かになるリスクがある
・順番が来た際に断られるリスクがある
 
 いくつかの管理組合様を見ていますが、メンバーが固定された場合はワンマン理事長やなれあい等が起こりやすい傾向があると思います。ですので、役員を選出する際は同じメンバーが固定されないよう決められた方が良いかと思います。もし、同じメンバーが固定されそうな場合の対策として、管理規約で管理組合役員に再任できる回数の制限や就任できない期間を設定することが可能です、ただし、管理規約の改定が必要になります。
 また、分譲マンションでは組合員全員が協力して管理組合の運営をより良いものにしていかなければいけないため、輪番制で役員が回ってきたときは快く引き受けることが大切です。

2022.11.18

マンションの管理方式②(委託管理)について

 今年も残すところ1ヶ月ちょっととなりましたが、いかがお過ごしでしょうか。今年の冬は昨年に引き続き寒くなるとの予想が気象庁より発表されており、早めに冬支度をしなければいけないなと思う今日この頃です。
 
さて、今回は先月に引き続きマンションの管理方式についてお話ししたいと思います。

 管理会社に業務を委託する場合、「全部委託」と「一部委託」があります。
全部委託は、管理組合からマンションの管理業務を管理会社に全て委託します。一方、一部委託は専門知識や技術を要するものなどを管理会社に業務を委託し、管理組合ができる業務は自身で行います。
 
自主管理方式では、管理会社に支払う委託費が発生しないため、管理費の支出が抑えられる一方、管理組合の業務量が増えるといったことがありましたが、管理会社に業務を委託した場合は、どのようなメリットデメリットがあるのか見ていきたいと思います。

 <メリット>
・管理組合の業務量が減る(会計、清掃および設備点検、長期修繕計画作成など)
・管理を高い品質で維持できるため、資産価値が低下しにくい
・管理会社から新しいサービスや情報が提供される

 <デメリット>
・管理会社に毎月支払う委託費が発生する
・管理会社に任せきりになると、管理会社主体の管理になるリスクがある
・各組合員の管理に対する意識が低下するリスクがある
 

 管理会社に業務を委託する場合において、管理組合は管理会社が毎月の業務を怠っていないかチェックすることが大切だと思います。また、修繕工事等を行うときは管理会社から見積を提示のうえ提案されるかと思いますが、事前に費用や費目がわかっていれば相見積りを管理組合で取得しても良いかもしれません。ですので、業務を委託されている管理組合はマンション全体の維持管理のため、適正に資産(管理費、修繕積立金等)が運用されているか、今一度確認されてみてはいかがでしょうか。 

2022.10.21

マンションの管理方式①(自主管理)について

 10月に入り日が暮れるのが一層早くなりました。日に日に寒さも増し、外に出る際は厚手の上着が必要になってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて、今回はマンションの管理方式についてお話ししたいと思います。

 本来、マンション管理は管理組合が主体となって行うものですが、業務内容の範囲が広く、法律や設備などの専門的な知識を要するため、ほとんどのマンションでは管理会社に業務を全部または一部を委託しています。国土交通省の「平成30年度マンション総合調査結果」によると、基幹事務を含め管理事務の全てを管理会社に委託しているマンションの割合は74.1%、管理組合が全ての管理事務を行っているマンションの割合は6.8%となっています。
では、管理会社に業務を委託せずに管理組合が全ての管理事務を行っている自主管理方式にはどのようなメリットデメリットがあるのか見ていきたいと思います。
 
<メリット>
・管理会社に支払う委託費が発生しないため、管理費の支出を抑えられる
・組合員が業務を行うため、管理に対する意識が高まる
・住民同士のコミュニティ形成がしやすい
 
<デメリット>
・管理組合の業務量が増える(会計、清掃および設備点検、長期修繕計画作成など)
・管理に携わるメンバーが固定されやすく、後継の担い手が不足し、管理が困難になるリスクがある
・建物のメンテナンスが疎かになり、マンションの資産価値が低下するリスクがある
 
自主管理方式について見てきましたが、管理会社に業務を委託する場合もメリットデメリットはあります。どの管理方式が良いかは一概には言えませんが、管理組合に一番合った方式をマンション全体で話し合い選択することが大切だと思います。

 なお、新築の分譲マンションでは、一般的に分譲会社があらかじめ委託方式(全部委託)を定めているケースがほとんどです。「マンションは管理を買う」と言われていますが、マンションを購入される際は専有部分を中心に見るのではなく、マンション全体の資産状況、共用部の管理状態、管理方式などについても把握しておくことが大切だと思います。 

2022.09.22

マンションの駐車場について

 9月に入り暑さが和らぐと思っていましたが、残暑厳しい日が続いており熱中症対策として、水分をこまめにとるよう心がけています。季節の変わり目は体調管理が難しいですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 

さて、今回はマンションの駐車場についてお話ししたいと思います。

 マンションの駐車場は大きく分けて平置き駐車場、自走式立体駐車場、機械式駐車場があります。それぞれの駐車場にはメリット・デメリットがありますので、詳しく見ていきたいと思います。
 
①平置き駐車場(車道から敷地内に入り平地に駐車するタイプ)
<メリット>
・車の出入りがしやすい
・車種の制限がない場合が多い(軽専用区画を設置しているところもあります)
・メンテナンス費用が安い(アスファルトやライン補修など)
・駐車時に荷物の出し入れができる

 <デメリット>
・広い敷地が必要
・天候に影響されやすい(屋根がない場合が多く、雨や雪などで車が汚れやすい)
・車上荒らしやいたずらをされやすい
 
②自走式立体駐車場(目的階の駐車スペースまでスロープなどを利用して駐車するタイプ)
<メリット>
・車の出入りがしやすい
・多くの車両が駐車できる
・車種の制限がない場合が多い(車高制限を設けている場合があります)

 <デメリット>
・設置、メンテナンス費用が高い
・駐車場内で事故やトラブルが起きる可能性がある
・車上荒らしやいたずらをされる可能性がある
 
③機械式駐車場(機械を操作して無人の車を駐車するタイプ)
<メリット>
・狭い敷地に多くの車両を駐車できる
・車上荒らしやいたずらされる可能性がない

 <デメリット>
・機械を操作するため、車の出入りに時間がかかる
・車高や車両重量の制限により駐車できない可能性がある
・設置、メンテナンス費用が高い
・機械動作音がうるさい
 

 これらの駐車場を使用するには、マンション管理組合と駐車場使用契約を締結する必要があります。マンションを購入したからといって駐車場もついてくるとは限りません。契約し使用料を納付してはじめて使用することが可能となります。 

2022.08.22

管理費等の督促業務について

 今年のお盆は新型コロナウイルス蔓延による行動制限などの規制が解除となり、久しぶりに故郷や旅行に行かれてリフレッシュされた方が多いかと思います。しかし、再び新型コロナウイルスが蔓延しているため、日頃の手洗いうがいは平常時より時間をかけて行うよう心がけています。
 
さて、今回は管理費等の督促業務についてお話ししたいと思います。

 分譲マンションを購入しマンション管理組合の組合員になると、毎月管理組合に管理費等(管理費、修繕積立金)を支払わなければいけません。また、駐車場や専用庭などを使用している場合も同様に、毎月使用料を支払わなければいけません。
管理費等および使用料の支払方法や支払期日については、各マンションによって違いがあるため管理規約を確認することが大切です。
 
では、これらの費用を滞納した場合、誰がどのように督促を行うのかみていきたいと思います。

 <管理会社が行う督促について>
 管理会社は管理組合との管理委託契約に基づき滞納者へ督促を行うこととなり、マンション標準管理委託契約書では以下のとおり記載されています。
 一 毎月、甲の組合員の管理費等の滞納状況を、甲に報告する。
 二 甲の組合員が管理費等を滞納したときは、最初の支払期限から起算して○月の間、電話若しくは自宅訪問又は督促状の方法により、その支払の督促を行う。
 三 二の方法により督促しても甲の組合員がなお滞納管理費等を支払わないときは、乙はその業務を終了する。
 
 <管理組合が行う督促について>
 管理会社の督促業務の範囲で回収できなかった場合は、管理組合が督促を行うことになります。いくつか以下のとおり記載しました。
 ・内容証明郵便の送付
 ・駐車場使用契約の解約通知の送付
 ・少額訴訟または通常訴訟の手続き
 

 以上より、あくまで管理会社は管理組合の補助役であり、滞納者に対して督促が主な業務となります。また、管理会社からの督促でも管理費等を回収できなかった場合は、管理組合が主体として行動を行う必要があります。ですので、管理組合としては毎月の管理費等の滞納状況や管理会社の督促状況を把握することが大切だと思います。 

2022.07.22

マンション管理組合の監事について

 7月もうだるような暑さが続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。今年は例年より早い梅雨明けの速報値が全国で発表されており、金沢は6月28日頃に梅雨明けとなりました。全国的に梅雨明けが早くなると、あまり雨が降らなかったことによる水不足の問題が心配されます。

 さて、今回はマンション管理組合の監事についてお話ししたいと思います。
 
 マンション管理組合の役員は主に「理事」と「監事」で構成されています。また、理事の中から「理事長(マンションの代表者)」や「副理事長」など選出されている管理組合が多いかと思います。
理事の仕事は主に、理事会を構成し管理組合の業務を担当します。監事の仕事は主に、管理組合の業務の執行および財産の状況を監査し、その結果を総会で報告する義務があります。

 では、理事と監事にどのような役割があるのか、マンション標準管理規約を基に以下のとおりまとめてみました。
 
理事
監事
選任および解任方法
総会決議が必要
総会決議が必要
理事会での発言権
発言権あり
発言権あり
※理事会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。
理事会での議決権
議決権あり
議決権なし
理事長に対し、理事会の
招集請求
請求できない
(理事長以外)
請求できる
※理事が不正の行為をし、若しくはするおそれがあると認めるとき、又は規約等に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるとき
臨時総会の招集
招集できない
(理事長以外)
招集できる
※管理組合の業務執行および財産状況について、不正があると認めるとき

 監事は管理組合の役員ですが、理事会を構成する一員ではないため、理事会の出席義務がなく議決権も持ちません。しかし、管理組合の業務の執行や財産の状況を監査するという、重要な役割がありますので可能であれば理事会に出席し、どのように運営されているのか確認・意見することが大事だと思います。 

2022.06.21

エレベーターのメンテナンス契約について

 6月も半ばが過ぎ、各地で梅雨入りしたとのニュースが多く見るようになりました。梅雨入りすると金沢では、気温・湿度ともに高くジメジメした蒸し暑い日が続き、室内で洗濯物を干すことが多くなり除湿器がフル稼働します。梅雨時期は気分が憂鬱になりやすいので、早く明けて欲しいものです。
 
 さて、今回はエレベーターのメンテナンス契約についてお話ししたいと思います。
 近年、高層の建築物が多く建てられており、これらの建築物では必ずと言っていいほどエレベーターが設置されています。では、なぜ高層建築物にはエレベーターが設置されているのか、建築基準法によって以下のとおり設置義務が定められています。
 
 第三十四条 建築物に設ける昇降機は、安全な構造で、かつ、その昇降路の周壁及び開口部は、防火上支障がない構造でなければならない。
 2 高さ三十一メートルをこえる建築物(政令で定めるものを除く。)には、非常用の昇降機を設けなければならない。
 
 建築基準法により、高さ31メートルをこえるマンションの場合は、エレベーターの設置が義務付けられていますが、それ以外のマンションでも入居者の利便性向上のため設置をされているところが多くあると思います。
 それでは、マンションでエレベーターを設置した後の整備・点検をどのように行うのかについて見ていきたいと思います。
 基本的にエレベーターの整備・点検を行う際は、「エレベーターのメーカー」または「独立系のメンテナンス会社」と、以下の2種類のいずれかのメンテナンス契約を締結されると思います。
 
・FM契約(フルメンテナンス)
 定期的な機器や装置の保守点検を行うことに加え、点検結果に基づく合理的な判断のもと、劣化した部品の取替えや修理等を行います。劣化故障した部品の取替え費用は契約費用に含まれます。
 月額のコストは割高ですが、突発的な故障の際の費用負担が発生しない。
 
・POG契約(パーツオイルグリス)
 定期的な機器や装置の保守点検のみを行う契約方式で、劣化した部品の取替えや修理等は含みません。劣化故障した部品の取替え費用は有償となります。
 月額のコストは割安ですが、突発的な故障の際の費用負担が発生する。
 
 それぞれマンションでの余剰金の状況など異なりますので、どちらの契約がよいかメリットデメリットを提示のうえ、マンション全体の意見を伺い理事会で検討されるのが良いのかなと思います。また、最終的に契約変更をされる際は、総会で組合員の方から決議を諮られてから行うのがよいかと思います。

2022.05.23

マンションの管理組合について

 今年のゴールデンウィークは新型コロナウイルス蔓延による行動制限が解除されたことで、旅行に行かれた方も多かったですね。最大10連休を取得可能でしたが、皆様はゆっくり過ごせましたでしょうか?
 
 さて、今回はマンションの管理組合についてお話ししたいと思います。

 マンションの管理組合とは、分譲マンションを購入された方(区分所有者)で構成される団体のことをいいます。また、区分所有法の第三条では「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。」と定められています。
 マンションにお住まいの方以外はあんまりご存じではないかもしれませんが、今後マンションを購入される予定の方は覚えておいてもいいかもしれません。
 
 では、管理組合は主にどのようなことを行っているのかみていきたいと思います。

 ・管理組合役員で構成される理事会を開催する
 管理組合役員(理事および監事)は区分所有者の中から通常総会で選任され、役員の中から理事長、副理事長などの役職を決めます。
 理事会では管理費等の滞納状況の報告、共用部分の修繕の検討、組合員からの要望への対応、管理規約案や使用細則案の検討などについて協議し決議されます。中には、理事会だけでは決められない事項(管理費等の変更、管理規約の変更、設備の導入など)がありますので、不明な点については、管理会社やマンション管理士等の専門家に相談するのが良いかと思います。  
 
 ・総会を開催する
 総会には「通常総会」と「臨時総会」があり、通常総会は毎年1回必ず開催しなければいけません。
 通常総会では、管理組合の収支報告、予算や事業計画、役員の選任などについて決議が行われます。また臨時総会については、理事会で判断が難しい案件が出た場合に、区分所有者全員に招集をかけ開催することが可能です。なお、総会での決議はマンションの総意を決定することになりますので、区分所有者の方は議案書を確認し一票を投じられることが大切です。
 
 管理組合が主に行っていることについてみてきましたが、管理組合役員を経験することによってどのようにマンションが運営し維持管理されているのかわかるようになります。また、マンションをより住みやすい環境にするためには、お住いの皆様が管理組合の運営に参加することが大切です。
 ですので、役員を一度も引き受けたことがない方がいましたら一度は引き受けてみてはいかがでしょうか。マンション全体の事をより知ることができるかもしれません。 

2022.04.21

マンションのお引越し時の注意事項について

 4月も半ばを過ぎましたが、新しい生活には慣れましたでしょうか?新しい環境ではいつも以上に体力を奪われていることがあると思いますので、体調管理に気を付けてお過ごしください。

 さて、今回はマンションのお引越し時の注意事項についてお話ししたいと思います。

 3月、4月は新生活をスタートするためお引越しをされる方が多いと思いますが、お引越しの際に起きるトラブルも少なくありません。例えば、「他の入居者の駐車場に無断で車を止めたり」、「オートロックのマンションの場合、出入口に荷物を置いてドアが閉まらないようにしたり」、「エレベーター内や廊下などの共用部分を保護せずに作業し傷をつけたり」など、様々なトラブルが起きることがあります。

 また、管理人にもトラブルを少なくするため引越し作業を注意して見てもらっているのですが、清掃業務がメインですのでべったり張り付いて監視するわけにもいきません。
 こういったトラブルを未然に防ぐため、引越し業者の手配の有無にかかわらず、弊社からお引越しされる方や業者に対して、以下の点についてお願いしておりますので、ご参考までに閲覧いただければ幸いです。
 
・引越し案内を掲示するため、事前(お引越し日の1週間前を目安)に管理会社に連絡していただく
 ※事前に掲示がないと、他の入居者の方から高確率でクレームが入ります。
・敷地内にトラックを止めて荷物を搬入する際は、すぐトラックを動かせるよう必ず1人は側につけていただく
 ※トラックを止めた付近の駐車場を使用している方が帰宅された時に、すぐ対応できるようにするため。お引越しの日に限って、早い時間帯に帰宅されるケースは意外と多いです。
・オートロックのマンションの場合、出入口を常時開放状態にしないよう注意していただく
・荷物の搬入をする際、エレベーターを独占して使用しないように注意していただく
・共用部分を破損させないよう、エレベーター内や廊下などをダンボール等で保護していただく
 ※万一、共用部分を破損させてしまった場合は、自費で修理しなければいけません。
・他の入居者の区画への無断駐車や大声を出しての作業など、周辺住戸に迷惑をかけないようにしていただく
 
 入居後もマンションでは様々な規則がありますので、入居者の皆様が規則を遵守することによって快適な生活環境を維持できるのではないでしょうか。

2022.03.24

マンションの住戸の玄関ドアについて

 3月に入り日に日に厳しい寒さも和らぎ、春の陽気を感じられるようになってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 さて、今回はマンションの住戸の玄関ドアについてお話ししたいと思います。

 マンションの住戸の玄関ドアは、住戸の一部であることから専有部分ではないかと思われがちですが、実は共用部分にあたります。
 また、玄関ドアは外側部分(共用廊下側)を共用部分内側部分(室内側)を専有部分に区別されているため、共用部分にあたる箇所を所有者が勝手にリフォームすることはできません。(外側部分の塗装の変更、錠の新設など)
 住んでいる方の中には「玄関ドアは共用部分なのだから、管理組合負担で修理などを行うのでは」と思われる方がいるかもしれません。それでは、玄関ドアの修理を行う際に発生する費用負担は管理組合・所有者のどちらに該当するのか見ていきたいと思います。
 
<管理組合が費用負担するケース>
 ・ドア本体の取替え
 ・外側部分の塗装
 
<所有者が費用負担するケース>
 ・錠(鍵穴)の取替え
 ・内側部分の塗装
 ・通常使用に伴って劣化した部品(ドアノブ、ドアクローザー、ドアチェーン、丁番など)の取替え
 
 一般的に専用使用権が与えられている物(玄関ドア、窓ガラス、網戸など)については、通常の使用に伴って壊れた際は所有者が費用負担し原状回復を行わなければならないと考えておけば良いと思います。
 また、マンションの玄関ドアの耐用年数はおおよそ25年程度と言われています。ドアの劣化状況にもよりますが、2回目の大規模修繕工事とあわせて全戸一斉に取替えを検討されても良いかもしれません。※ 大規模修繕工事は一般的に12年周期で計画されています。

 おしまいに、マンションに住んでいる方で、「玄関ドアの全戸取替えの計画があるのかないのか」、「ある場合は何年後に取替えとなっているのか」など気になる方は、管理組合または管理会社に確認されてみてはいかがでしょうか。

2022.02.22

管理組合役員間の情報共有について

 冬季オリンピックが始まり日夜、熱戦する競技が繰り広げられており、ついテレビに没頭していますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 
 さて、今回は弊社受託のマンションで役員間の情報共有を行うためChatworkを導入した事例をご紹介します。
 
 このマンションでは、「役員相互で情報共有や意見交換をしたい」という、ご要望がありました。
 通常ならメールやLINEなどを活用するのですが、このマンションの場合は「電話番号やメールアドレスといった個人情報は、管理会社以外に開示したくない」という条件付きでした。様々なツールを探し検討した結果、最終的に利便性が良いChatworkをご提案しました。
 
<主な選定理由について>
・スマホやタブレット端末で利用できる
・グループに途中参加しても過去に投稿した文章を閲覧できる
・電子ファイルをアップロードできる
・利用料がかからないプラン有り

 当初、導入についてIT関係が苦手として否定的な方もいらっしゃいましたが、初期設定等をお手伝いさせていただいた結果、役員全員が参加し情報共有できるようになりました。今では、その方が一番積極的に投稿されるなど、役員相互の意見交換がこれまでとは比較にならないほど活発になっています。
これら役員相互の意見交換のほか、理事会の日程調整や理事会資料の電子ファイルのアップロードを行い、事前に共有しています。また、グループに途中参加された方でも、過去に投稿された文章などを閲覧できるため、後任の役員への引継ぎにも活用できると思います。
グループメンバーの管理については、弊社がホスト役となり、役員に選任される方や役員の任期満了などによって退任される方の整理を行っています。

 Chatworkを導入する以前は、弊社から役員の方へ連絡を取る際、基本的に電話やメールを活用していましたが、なかなかつながらない方もいたため、理事会の日程調整などでかなり時間がかかりました。導入したことによって、電話がつながりにくい方でも投稿いただけることで、全体としても時間の短縮につながっています。

 以上、ご参考になれば幸いです。 

2022.01.26

マンションの建物及び設備の法定点検について

 年が明けてから新型コロナウイルスの感染者が増加していることを受け、入念に手洗いうがいを行うよう、あらためて心がけています。
 
さて、今回はマンションの建物及び設備の法定点検についてお話ししたいと思います。
 
 マンションで安全かつ快適に過ごすために、建物及び設備は定期的な「点検」や「報告」が法律(建築基準法、消防法、水道法など)で義務付けられています。これらの点検は「法定点検」と呼び、専門知識を持った有資格者が行う必要があります。
 
それでは主にどのような法定点検があるのか、見ていきたいと思います。
 
名称
周期
内容・点検資格者
特殊建築物定期調査
3年に1回
(特定行政庁により異なる)
・建物全体や敷地の調査をします。
・一級建築士、二級建築士、特殊建築物調査資格者
昇降機定期検査
1年に1回
・エレベーターの検査をします。(エスカレーターも含む)
・一級建築士、二級建築士、昇降機検査資格者
消防設備点検
機器点検 6か月に1回
総合点検 1年に1回
(所轄の消防署長に報告
3年に1回)
・消防用設備の点検をします。
・消防設備士、消防設備点検資格者
簡易専用水道検査
1年に1回
・水質検査をします。
・地方公共団体又は厚生労働大臣の登録を受けた者
受水槽清掃
1年に1回
・受水槽の容量が10㎥を超える場合は清掃が必要になります。
・貯水槽清掃作業監督者、貯水槽清掃作業従事者研修受講者
自家用電気工作物定期点検
月次点検および年次点検
・受変電設備(キュービクル)の点検をします。
・電気主任技術者
 
 これら以外にもマンションに設置されている設備によっては、実施しなければいけない法定点検がありますので注意が必要です。皆様が居住しているマンションで法定点検が実施されているか、確認してみてはどうでしょうか。

2021.12.22

マンションの各戸水道メーターの取替えについて

  今年も残り1か月となり、年末年始に向けて慌ただしい日々が続いていると思いますが、いかがお過ごしでしょうか。

さて、今回はマンションの各戸水道メーターの取替えについてお話ししたいと思います。


 皆さんが毎日使用している「水」は、どれだけ使用したかがわかるよう、各戸に水道メーターが設置されていますが、そのメーターに「有効期限」があることを知っていましたか?
 
 水道メーターには検定有効期限があり、計量法で8年と定められています。検定有効期限は「メーターの蓋を開けた裏側の基準適合証印(シール)」「メーターの外側の基準適合証印(玉)」などで確認することができます。
 
 ちなみに、検定有効期限が切れたメーターを使用し続けた場合、何か問題はあるのでしょうか?
 実は計量法で罰則が規定されています。
 
 第172条「6月以下の懲役若しくは50万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」
 
 ですので、ルールを守り検定有効期限のうちに取替えまたは再検定を受ける必要があります。また、メーターを長期間使用した場合、経年劣化により正常に動作しなくなるほか、計量に誤差が生じる可能性が出てきますので、新しいメーターに取替えることをお勧めします。
 
 それでは、水道メーターは誰が費用負担し取替えを行うか見ていきたいと思います。
 
 水道局が設置したメーター (公設メーター)の場合:水道局が費用負担のうえ取替えを行う。
 管理組合が設置したメータ―(私設メーター)の場合:管理組合が費用負担のうえ取替えを行う。
 
 私設メーターの場合、あらかじめメーターの検定有効期限や取替え費用の概算額を把握することにより、何年後にどれだけ予算を計上しなければいけないか見えてくると思います。また、取替え費用はメーターの種類や個数にもよりますが、かなり高額になると思われますので、複数の業者から見積もりを取得のうえ検討された方が良いかと思います。
 マンションでは築年数が経過するほど修繕対象となる箇所が多くなっていきますので、管理費や修繕積立金に余裕を持たせた修繕計画を作成することが大切です。

2021.11.16

マンションのバルコニーについて

 11月に入り、一段と日が暮れるのが早くなり、朝晩だけでなく日中も冷えるようになりました。
 さて、今回は分譲マンションの住戸に附属している「バルコニー」についてお話ししたいと思います。
  
 住戸に附属しているバルコニーは、専有部分・共用部分のどちらにあてはまると思いますか?
バルコニーは室内に隣接しているので専有部分と思われがちですが、実は「専用使用権が認められた共用部分」にあたります。
 
 ○ 専有部分:一般的に天井や壁、床に囲まれた内側の空間(居住スペース)
 ○ 共用部分:一般的に専有部分以外の全ての部分
 ○ 専用使用権:共用部分の一部を特定の人が使用することができる権利
 
 それでは、バルコニーがどのように管理され使用できるのか、みていきたいと思います。
(1)清掃について
 「バルコニーは共用部分なのだから日頃の清掃はやらなくてもよいのでは」と思われる方がいるかもしれませんが、通常はその住戸に住んでいる方以外の人は勝手に出入りできないため、バルコニーの清掃などは原則として居住している方が行うことになります。また、雨水が流れるドレン回り(排水溝)にゴミなどが詰まると下階への漏水の原因にもなりかねませんので、ゴミが堆積していないか確認することが大切です。
 
(2)補修工事(防水補修工事、塗装工事など)について
 共用部分であるため基本的には管理組合が費用を負担し、管理責任のもと行うことになります。ただし、居住している方の過失により破損させてしまった場合は、自己負担で原状回復をしなければいけない事が多いと思われます。隣の住戸との境目にある仕切りの板を過失により割って破損させてしまったため、板の取替を行い原状回復したケースが一例です。(弊社が受託しているマンションであった事例です)
  
(3)洗濯物などを干すときの注意点
 マンションによっては「手すりを越えて洗濯物や布団を干してはいけない」、「バルコニーやベランダで洗濯物を干してはいけない」などのルールが使用細則で決められているところもありますので、バルコニーで洗濯物や布団などを干す際には注意が必要です。
 
(4)災害等の緊急時について
 災害により火災などが発生した場合は避難経路として使用されますので、避難の妨げになる大きな物などを置いたりすることは禁止されています。特に、避難はしごが下りてくる場所には、絶対に物を置かないよう注意が必要です。
 
(5)バルコニーでの喫煙について
 ご家族に遠慮して、バルコニーで喫煙する方もいますが、あまりお勧めできません。近隣(特に上階)の住戸が窓を開けたり、洗濯物を干していることも多く、クレームの原因となります。
 
 バルコニーの仕様についていくつか記載しましたが、マンションによって決められている規則が様々だと思いますので、いま一度「管理規約」や「使用細則」などを確認してみてはいかがでしょうか。

2021.10.22

管理人の業務について

 10月に入りましたが、まだ30℃を超える真夏日があり体調管理が難しいですね。
 さて、今回は管理人の業務についてお話ししたいと思います。
 
 管理人の業務は、マンションの清掃や来館者等の受付、工事の立ち合いなど様々ありますが、いずれのマンションでも清掃がメインだと思います。
 それでは、管理人の業務内容(清掃の範囲や勤務の形態(勤務時間、休日、業務実施態様など))については、どのように決められているのでしょうか。
 これらの内容については、マンション管理組合がマンション管理会社と委託契約をした際に、一定の事項を記載した書面(管理委託契約書)を交付するのですが、この書面に記載されています。マンションによって契約内容はそれぞれですので、契約内容がどのようになっているのか気になる入居者の方は、管理会社に問い合わせてみるのもいいかもしれません。
 
 ここでは実際に管理人がどのような業務を行っているのか、弊社が受託しているマンションの管理人の業務について、日常業務、季節業務、その他の3つに分けて以下のとおりまとめました。
 <日常業務>
 ・掃き掃除(正面エントランス、共用廊下、駐車場、駐輪場など)
 ・拭き掃除(ガラス、手すり、集合郵便受け、インターホンなど)
 ・モップ掛け(共用廊下、エレベーター内など)
 ・ゴミ置き場の掃除(ゴミ収集日に実施)
 ・管球点検(管球が切れていた場合は、管球の交換)
 ・クモの巣取り(暖かい時期は取ってもとっても、翌日には巣を張っています)
 ・雑草取り
 ・除菌(新型コロナウイルスの状況を鑑み、共用部分の手で触れる箇所(手すり、押しボタンなど))
 
 <季節業務>
 ・側溝の泥上げ(グレーチングを上げて作業するため重労働です)
 ・植栽の水やり(植栽の面積が広い場合、12時間ぐらいかかります)
 ・除雪(降雪量が多い場合は、日常業務より除雪をメインにしています)
 
 <その他>
 ・来館者等の受付け
 ・共用部分の工事や点検等の立ち合い(エレベーター点検、消防設備点検、給水設備点検など)
 ・管理会社に連絡報告等(入居者の方からの問い合わせ、設備の異常など)
 
 管理人は上記の業務のほか、入居者の方との応対など様々な業務をこなしており、住民の方が快適に過ごせるために欠かせない存在となっています。弊社としては、管理人が働きやすい環境を整え、できる限りのサポートをしていきたいと思います。いつもマンションのために働いている管理人さんを見かけた時、何かひとこと感謝や労いの言葉をかけてみてはいかがでしょうか。

2021.09.22

マンション共用部の新電力切り替えについて

 9月に入り朝晩は涼しくなりましたが、いかがお過ごしでしょうか。この時期は衣類を選ぶのが悩みの種でもあります。
 
 さて、今回はマンション共用部への新電力導入についてお話ししたいと思います。
 
 マンション共用部の電気契約は設置されている設備によって異なりますが、一般的な電気契約は3種類となります。
 ① 従量電灯:共用部の照明(共用廊下、階段、駐車場など)
 ② 低圧電力:共用部の設備(エレベーター、給水ポンプ、消火栓ポンプなど)
 ③ 融雪用 :融雪用井戸ポンプ設備 ※ 北陸電力ではホワイトプランというプラン名です。
 
 201641日からの「電力の小売全面自由化」により、自由に電力会社を選び契約ができるようになりましたが、新電力会社の数が多すぎてどの「電力会社を選べばよいか分からない!」という方もいらっしゃると思います。
 
 そこで、弊社受託のマンションで、実際に電力会社の変更を行った事例をご紹介します。
 このマンションでは、ご自宅を新電力に切り替えされた役員様よりご提案をいただき、検討を開始しました。
 マンション共用部の電気については管理組合名義で契約しているため、ご自宅で電力会社を切り替えるときと比べ、下記のような注意点があります。
 ① クレジットカード払い限定の新電力会社は選択できない
  → ほとんどの場合、管理組合名義でクレジットカードを作ることはできないと思います。
 ② 初期費用や違約金など、リスクのある契約を行う場合は丁寧な合意形成が必要
  → 最終的にはそれぞれの管理組合様でご判断となりますが、電気料金の削減率が大差ない場合は、安全な契約(新電力会社)を選ぶほうがスムーズに契約変更できると思います。
 ③ 融雪用電力(及びオール電化契約の管理人室)など、新電力契約が不可、もしくは向かない部分がある
  → 契約種別によっては、そもそも新電力のプランがない、もしくは採算が合わないので切り替えできない、ということがあります。この場合は地元電力会社と引き続き契約することになります。
 
 したがって、共用部分の電力会社(電灯および動力)切り替えにあたっては、下記基準を満たした電力会社で試算を行いました。
 ① 既設メーターからスマートメーターに変更となるため取り付けの際に費用が発生しないこと
 ② 途中解約による違約金が発生しないこと
 ③ 口座振替による支払いが可能なこと
 理事会で上記の条件に合う電力会社の候補を3社に絞り検討したところ、一番削減率が高い電力会社に変更することについて理事会決議を行い満場一致で可決されました。
 電力会社の変更にあたっては、電力メーターの取替(スマートメーター)が必要です。工事の際は一時的に全館で停電となりましたが、事前にご案内していたことも有り、大きなトラブルもなく切り替えが完了しました。
 
 なお、電力会社の料金プランは色々なものがあります。
 ① 基本料金を割引
 ② 基本料金ゼロで完全従量制
 ③ 従量料金のみ割引
 ④ その他(①と③のミックスなど)
 
 どのプランが一番オトクか?というのはマンションの電力使用量によって変わります。また、同じマンションでも、「照明器具のLED化」などにより前提条件(電力使用量)が大きく変わる場合は電力会社の再変更を検討したほうが良いかもしれません。
 
 新しい会社も続々と参入していますので情報収集が大変ですが、一度契約変更をすれば、管理組合様は何もしなくても経費節減ができますのでご一考の価値はあるかと思います。まずは管理会社にご相談されることをお勧めします。
 
 ※ 金沢市及び近郊地区の管理組合様であれば、弊社のマンション管理士による対応も可能です。よろしければお問い合わせフォームからご相談ください。
 
 以上、ご参考になれば幸いです。

2021.04.27

オンラインフードデリバリーサービスに関わるトラブルについて

 4月に入り、昼は暖かくポカポカ陽気ですが、夜はまだ冷える日が続く金沢市です。お風邪など召されていませんでしょうか?
 
 さて、今回はオンラインフードデリバリーサービスに携わる皆様および利用される皆様にお願いがあり、筆をとりました。
 弊社の管理しているマンションにおいて、以下の事件が起こりました。
 ※ 長文ですが、お時間があるときに読んでくださると嬉しいです。
 
< 事件の内容 >
① とある土曜日の15時頃、マンションにお住まいの方から
一階エントランスの棚に、お弁当らしき箱が入ったビニール袋が置かれていて臭いがひどい。管理会社は何か事情を知っているか?」
と電話でのお問い合わせがありました。
 
② 事情を知らない旨を返答し、ビニール袋の中に伝票が無いかとと尋ねると、あった!とのお返事がありました。
 
③ その伝票には『販売店名、注文時間は前日21時、〇〇弁当(ごはん少なめ)』とだけ記載されていました。
 
④ お住まいの方が「エントランス中すごく臭い。どうしよう?」と困惑していたため、常温で一晩経って臭うお弁当は食べられないだろうと考え、鍵のかかるマンションのゴミ置き場に入れていただくようお願いしました。
 
⑤ 販売店名を検索したところ、ホームページに住所とメニューは記載されていたものの電話番号が無かったため、同じ住所(雑居ビル)で電話番号が記載されているA飲食店に問い合わせたところ「おそらく隣のB飲食店ではないか?」と教えていただきました。
 
⑥ そのB飲食店はホームページに電話番号が記載されていたため、おそるおそる『販売店名、注文時間は前日21時、〇〇弁当(ごはん少なめ)』がマンションのエントランス内に放置されていた件を質問すると、以下の返答が得られました。
「『販売店名』は私が運営している、オンライン配達専門店です。」
「前日20時30分に某オンラインフードデリバリーサービス業者から注文があったため、〇〇弁当(ごはん少なめ)を調理し、配達員に渡しました。しかし、どこに配達したのか私は知らないのです。」
「配達員が注文者の氏名・連絡先を知っていて指定場所に運ぶのですが、配達員が間違えて届かないことも多いです。」
「注文者に届かない場合、サイトの運営元へ苦情が寄せられます。この際、運営元から注文者へ返金され、販売店へは代金が支払われるので問題が無いのです。」
「〇〇弁当はそちらで処分してください。私の仕事は弁当を調理して配達員へ渡すまでで、それ以降の責任はありません。」
 
⑦ この飲食店との電話の後、サイト運営元のホームページを探しました。ホームページはすぐ見つかったのですが、電話番号の記載が無いため、お問い合わせフォームを探しました。しかし、記入できるフォームにたどり着くまで10分以上かかりました。
『弊社の管理しているマンションに、御社の配達員が間違えて弁当を一晩放置したようです。私の携帯電話へお電話ください。』と記載して送信したのが16時過ぎていたので、ここまでに1時間以上かかってしまっているのです…
 
⑧ 22時過ぎ、非通知設定でサイト運営元の方からお電話がありました。電話を取るかかなり迷ったのですが、「もしかしたら…と思い電話に出たのが『今回は』正解でした。お電話いただいた方に経緯をご説明し、以下の3点を依頼しました。
「なぜ弁当が放置されることになったのか、経緯を教えてください。」
「もし注文者が当マンションにお住まいの方なら氏名を教えてください。管理会社からも注意喚起しなければなりません。」
「配達員が間違えたのであれば、本人に処分するよう伝えてください。もし配達員が無理ならあなたが処分しに来てください。金沢市では有料ゴミ袋に入れなければ収集してもらえません。」
 
⑨ 23時にサイト運営元の方から、メールで以下のとおり回答がありました。
『配達員がマンションを間違えたまま、注文者の指示どおりエントランスの棚に置いたようです。』
『注文者が別のマンションの方なので、注文者の情報提供は差し控させていただきます。』
『配達員や自分が弁当回収に行けないので、そちらで処分してください。』
(配達員はどこに置き去りにしたのかすら覚えていなかったようです。そのうえメールの差出住所がサンフランシスコからだったので、運営元での回収は不可能というところでしょうか…)
 
⑩ 23時過ぎてしまったのですが、見つけた住民の方に電話で経緯をご連絡したところ、当然ですがかなりお怒りでした。経緯が判明するまで8時間以上かかったうえ、ゴミの処分までさせられたわけですから(臭いがひどいため、ご自分の有料ゴミ袋に入れて2重にしてくれたそうです)。私も怒りと疲労でふらふらでした…
 
 個人的には、サイトの運営元や配達員の方に言いたいこともいろいろあります。
 (非表示での電話、受け渡しの曖昧さ、誤配達の際のアフターフォローなど…)
 
 しかし、このブログ(コラム)はマンションにお住まいの方向けのものですので、皆様がご注文される際に知っていただきたいと思った事項を以下に記します。
 
① 注文の際、お届け先の建物名と部屋番号を必ず入力いただいたほうが良いです。最近は郵便受けや玄関に表札が無いことも多いので、誤配達を誘発することになります。
 
② 商品のお受け取りは、必ず「手渡し」で行っていただいたほうが安全のようです。感染対策とプライバシーの点から、玄関先での受け渡しを敬遠する方もいらっしゃるかと思います。もし直接手渡しで受け取らない場合でも、エントランスなどで「目視確認できる状況」での受け渡しにご協力をいただければ幸いです。
 
※特にサービスが始まったばかりの金沢近辺では、配達員の方は経験やマナー研修の不足により玉石混交といった印象です。(実際に数回やり取りした経験からの意見です)。今回はちょっと信じがたいトラブルでしたが、ネット検索で調べると案外似たような事例も全国的にあるようです…。
 
 今後も需要が増えていくサービスであるからこそ、このようなトラブル事例もお知りおきのうえ、今後のご利用にお役立ていただければ幸いです。 

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