コラム

2023.03.29

子供の転落事故を防ぐには

 

桜前線が北陸に近づいているのか、桜の開花が見られるようになりました。春は植物たちが芽を出し始める中、温度変化による体調不良や花粉・黄砂によるアレルギー症状など春も油断できない季節です。

 

 先日、名古屋市内でマンションから双子の男児が転落死したニュースがありました。悲しい事故をこれ以上増やさないためにはどうすればよいのか考えてみましょう。

 

【転落事故発生の原因】

 転落事故の発生は①保護者が近くにいない、②子供だけで遊んでいる、といった目の届かない状態に起きているようです。また、ベランダに設置されたエアコンの室外機や手すりをよじ登り、転落した事例もあるようです。

窓やベランダからの転落事故における年齢別の救急搬送件数(n=62

東京消防庁管内で発生、平成29年から令和3年までの累計

東京消防庁「救急搬送データ」

(出典:東京消防庁「住宅等の窓・ベランダから子どもが墜落する事故に注意」

 

  【子供の転落事故を防ぐには】

 常に子供を見ているというのは現実的に難しいと思いますので、通常の見守りと合わせて以下の点を押さえておきましょう。

 

①補助錠を付ける

子供が勝手に窓や網戸を開けてベランダに侵入しないよう、手の届かない位置に「補助錠」を設置しましょう。

 

②ベランダや窓付近に物を置かない

プランターや椅子など様々なものが踏み台になり得ます。エアコンの室外機は手すりから「60cm以上」離して設置しましょう。窓付近のソファやベッドも足場になってしまう可能性がありますので、お部屋のレイアウトを確認して安全を確保しましょう。

 

③窓、網戸、ベランダの手すりに劣化がないかチェックする

特に夏場は換気のために窓を開け、網戸だけにしていることも多いかと思います。しかし、網戸は思ったより簡単に外れてしまうため、子供がベランダに出てしまい、結果として転落を誘発してしまうことがあります。

掃除や洗濯など、一瞬でも子供から目が離れるときは窓を閉めるのが基本ですが、網戸自体への対策としては①グラつきがある場合は調整ネジを確認する、②網や枠が劣化している場合は専門業者に修理を依頼する、などの注意点があります。

また、ベランダの手すりについては、サビなどを定期的に点検することをおすすめします。

 

 【出典】

政府広報オンライン

「ご注意ください!窓やベランダからのこどもの転落事故」

2023.02.24

マンション居住者が災害発生時に取るべき対策について

立春が過ぎ、暖房が欠かせない朝晩の寒さに耐えつつ、春の訪れを今かと待ち望んでいます。先日、トルコ・シリアで発生した大地震で今まさに寒さに耐え、救援を求める人たちがいることを思うと心が痛みます。
 
 日本でも異常気象や災害は増加傾向にあり、マンションにお住まいの方にも危機意識は高まっているようです。東京都の晴海地区では、2つのマンション管理組合が自治会とも連携して、共同の防災訓練を行ったというニュースもありました。これらのマンションはいわゆる「タワーマンション」で、入居者も多く高層階の方については避難も大変です。災害により停電が発生すると、エレベーターや給水ポンプが使えないことも大きな問題となるため、今回の訓練実施に至ったのではないでしょうか。
 石川県ではタワーマンションというほどの建物はほとんどありませんが、珠洲の地震や小松市を中心とした水害など、2022年も多くの災害が発生しており、決して他人事ではないと感じています。
 
 
 ちなみに、災害発生後に想定されるリスクとして以下のようなものがあります。
     電源の確保
     水と食料の確保
     生活空間の確保
 
上記3つは戸建住宅でも同じように必要な対策ですが、マンション特有の注意点として、
④排水管の破損による漏水 があります。
 
配管が破損している状態で排水をしてしまうと、マンション内に汚水があふれてしまう場合があります。「震度6以上の地震が発生した場合、配管の点検した後に排水を行う」といったルールを管理組合で事前に決めておくのもよいでしょう。排水が出来ない時は携帯トイレの準備も必要ですね。
 

 マンションは大勢の世帯がいるからこそのメリットもあります。一人一人が作業分担などをしていくことで、いざという時に助け合うことができます。入居者同士のコミュニケーションが盛んであればあるほど、より危機対応に強い組織になっていくことでしょう。 

2023.01.26

マンションに関わる税制特例措置

 松の内の賑わいも過ぎ、日常生活が戻ってまいりました。より一層寒さが厳しくなるので、体調管理に気を付けていきたいと思います。
 
さて、今回は最新のマンションに対する税制特例措置についてお話したいと思います。
 
 マンションの経年により、壁面剥落や雨漏りといったトラブルが増えていきます。そこでトラブルに対応するための大規模修繕や設備の更新など様々な工事が必要となります。
 
ただ、工事費の急激な上昇や管理体制の欠如で、マンションの長寿命化に必要な積立金が不足する事態が発生しています。最悪の場合、廃墟化で周辺への悪影響や除却の行政代執行に繋がることも考えられます。
 
そんな不測の事態に備えるため、令和5年度税制改正大綱に「長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する特例措置」(マンション長寿命化促進税制)の創設が盛り込まれました。
 
 以下の条件で長寿命化工事を実施した場合、翌年の固定資産税が減額されます。減額割合は1/6~1/2の範囲内とし、市町村が条例定めることになります。
 
1.         築後20年以上が経過している10戸以上のマンションであること
2.         長寿命化工事を過去に1回以上適切に実施していること
3.         長寿命化工事の実施に必要な積立金を確保していること
4.         特例を受けるための長寿命化工事が令和5年4月1日から令和7年3月  
   31日までの間に完了すること
 
 この特例措置について現段階では法令化されておりません。条件や減額割合の変更もあり得ますので、今後より詳細な情報を注視していきたいです。
 
 
【参考資料】
国土交通省 報道発表資料
マンション長寿命化促進税制が創設されます!~マンションの長寿命化工事の実施に向けた管理組合の合意形成を支援します~

www.mlit.go.jp/report/press/house06_hh_000225.html

2022.12.27

管理組合役員の選出方法について

 早いもので今年も残すところわずかとなりましたが、年越しに向けての準備はいかがでしょうか。日頃できない箇所の掃除をやらなければと思いつつも、寒さに負けてこたつで丸くなってしまいます。
 
 さて、今回は管理組合役員の選出方法についてお話ししたいと思います。

 管理組合役員の人数や役職は、国土交通省が定めるマンション標準管理規約(単棟型)によると、理事長、副理事長○名、会計担当理事○名、理事○名、監事○名となっています。マンションによって世帯数や居住組合員の状況が違うため、役職を追加削減し管理規約を作成されているかと思います。あるマンションでは会計担当理事がいなかったり、新しく町会担当理事を追加したりしている場合もあります。

 これらの役員候補者を選出する方法として、「立候補制」または「輪番制」があげられます。多くのマンションでは輪番制を採用して、組合員全員が平等に役員を担っているかと思います。では、これら二つの選出方法のメリットデメリットについて見ていきます。

① 立候補制
<メリット>
・マンション管理に関する知識が豊富で熱心な方が期待できる
・理事会運営がスムーズに進むことが期待できる
<デメリット>
・同じ方が何年も務めるリスクがある
・ワンマンな理事長になるリスクがある
・新しい意見が取り入れられにくいリスクがある
 
② 輪番制
<メリット>
・平等に割り振るため役員になる方が偏りにくい
・事前に役員就任の時期が把握できる
<デメリット>
・理事会運営が疎かになるリスクがある
・順番が来た際に断られるリスクがある
 
 いくつかの管理組合様を見ていますが、メンバーが固定された場合はワンマン理事長やなれあい等が起こりやすい傾向があると思います。ですので、役員を選出する際は同じメンバーが固定されないよう決められた方が良いかと思います。もし、同じメンバーが固定されそうな場合の対策として、管理規約で管理組合役員に再任できる回数の制限や就任できない期間を設定することが可能です、ただし、管理規約の改定が必要になります。
 また、分譲マンションでは組合員全員が協力して管理組合の運営をより良いものにしていかなければいけないため、輪番制で役員が回ってきたときは快く引き受けることが大切です。

2022.11.18

マンションの管理方式②(委託管理)について

 今年も残すところ1ヶ月ちょっととなりましたが、いかがお過ごしでしょうか。今年の冬は昨年に引き続き寒くなるとの予想が気象庁より発表されており、早めに冬支度をしなければいけないなと思う今日この頃です。
 
さて、今回は先月に引き続きマンションの管理方式についてお話ししたいと思います。

 管理会社に業務を委託する場合、「全部委託」と「一部委託」があります。
全部委託は、管理組合からマンションの管理業務を管理会社に全て委託します。一方、一部委託は専門知識や技術を要するものなどを管理会社に業務を委託し、管理組合ができる業務は自身で行います。
 
自主管理方式では、管理会社に支払う委託費が発生しないため、管理費の支出が抑えられる一方、管理組合の業務量が増えるといったことがありましたが、管理会社に業務を委託した場合は、どのようなメリットデメリットがあるのか見ていきたいと思います。

 <メリット>
・管理組合の業務量が減る(会計、清掃および設備点検、長期修繕計画作成など)
・管理を高い品質で維持できるため、資産価値が低下しにくい
・管理会社から新しいサービスや情報が提供される

 <デメリット>
・管理会社に毎月支払う委託費が発生する
・管理会社に任せきりになると、管理会社主体の管理になるリスクがある
・各組合員の管理に対する意識が低下するリスクがある
 

 管理会社に業務を委託する場合において、管理組合は管理会社が毎月の業務を怠っていないかチェックすることが大切だと思います。また、修繕工事等を行うときは管理会社から見積を提示のうえ提案されるかと思いますが、事前に費用や費目がわかっていれば相見積りを管理組合で取得しても良いかもしれません。ですので、業務を委託されている管理組合はマンション全体の維持管理のため、適正に資産(管理費、修繕積立金等)が運用されているか、今一度確認されてみてはいかがでしょうか。 

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